WORK × LIFE STORY
もともと飲食店で働いていました。学生時代にアルバイトをしていたお店に就職し、キッチンスタッフとして勤務していたんです。ただ、締め作業も含めると拘束時間が長く、かなり忙しいお店だったため、帰宅が深夜になることが頻繁にありました。結婚はしていましたが、なかなか家で過ごせる時間が確保できず、30代半ばになった時「このままでいいのか?」と考え、自分のためにも妻のためにも働き方を変えようと転職を決意したんです。
若い頃から乗り物や運転が好きだったのもあり、拘束時間が比較的短く、土日休みが取れる倉庫会社のドライバー求人を見つけて応募しました。無事に入社してからはドライバーとして経験を積みつつ、将来のことを考えて運行管理者の資格も取りました。
しばらくしてその会社がワイン輸送事業を始めることになったとき、興味があった私は自ら手を挙げ、立ち上げから携わることになったんです。ワイン専用の保冷車を導入したり、他社と連携を取りながら基盤を整えていきましたが、なかなか採算は合わず、トラックを軽自動車に変更するなどの工夫もしましたが、投資した分の回収が難しかったようですね。
そんなとき、たまたまSBSグループの方と縁があり、ワイン輸送事業の立ち上げを検討しているので仕事を引継がせてくれないかという話をいただきました。また、ワイン輸送には独自のノウハウが必要だったため、会社とも相談し、経験者として私もSBSロジコムへ移籍することになったんです。
ワイン輸送は一般的な配送とは異なる点が多いんですが、SBSロジコムでの事業立ち上げ当初は私以外の経験者が少なく、ほとんどのドライバーがワイン輸送は未経験でのスタートだったため、認識の違いに戸惑うこともありました。
例えば、配送先は高級レストランやワインショップが中心です。ホテルやビルでは正面玄関からの搬入は禁止されていたり、床を傷つけないためにエアタイヤの台車が必須の場合もあります。大きな声で挨拶をすること自体は本来悪いことではないですが、お店によっては落ち着いた雰囲気を大切にしているので、ドライバーもそれに応じた言葉使いや行動・身嗜みまで細かな配慮が必要です。
配送ルートも一筋縄ではいきません。都心部は高級住宅街にひっそりと佇むお店もあり、駐車できる場所を確保するだけでも一苦労です。あるとき、2トントラックで住宅街を走っていると、先の道が細くなっているような嫌な予感がしたんです。それでも配送先まであと数十mだったのでそのまま進むと、直前の曲がり角で「この先トラック通行不可」と書かれた看板を発見…。Uターンもできず、50メートルほどバックで戻らなければいけなくなり、たまたま通りがかった近隣住民の方に誘導していただいたなんてこともありました。
さらに、時には1本数百万のワインを運んだり、品質管理や箱の向きや荷台への積み方にも細心の注意を払う必要があります。木箱入りのワインは、一度釘で梱包されると到着まで中を確認できません。また、もともと瓶にヒビや気泡が入っていることもあり、一見破損がなくても溢れてしまうことがあるんです。そのためワイン輸送専用の車両には、温度管理機能以外にも独自の工夫も実施されています。荷台の床には波状の凹凸があり、万が一ワインが漏れた場合でも、箱が直接濡れないようになっています。
現場で得た情報も必ず支店全体で共有するようにしています。「あの店舗は出入り口の坂が急だから、積み方を工夫した方がいい」「あの道は平坦に見えるが、ブレーキをかけないと台車が動いてしまう」など、そういった小さな情報が、大きな事故やトラブルを防ぐことに繋がるんです。全員で協力し細かい改善を重ねながら、より安全でスムーズな配送を目指し、初めは数台だった車両も今ではかなりの数と車種が揃い、事業の成長を実感しています。
以前の会社に居た頃は、予定に間に合わせるためにお昼を食べられないなんてこともありました。私がドライバーになりたての当時は、それが当たり前の時代だったせいもあるのかもしれません。たまたま事故を起こさなかったから良かったものの、家事を妻に任せっきりにしている状況を変えたい気持ちもあり、実は声を掛けてもらう前から転職を考えていました。
SBSロジコムに入社してからは、働く環境そのものが大きく変わりましたね。残業代が出るようになり、休みもしっかり取れ、帰宅時間も早まったので以前より家事に参加できるようになりました。車に搭載されたドライブレコーダーはスピードの記録以外にもさまざまな機能があります。例えば、3時間半運転しているとアラームが鳴るようになっており、おかげで管理者もドライバーも双方が時間を管理しやすくなったと感じてます。
運送の仕事は、配車スケジュールを管理する人、荷物や倉庫を管理する人、梱包する人、そして届けるドライバー、どの役割が欠けても成り立ちません。これまでピッキングや運行管理の業務にも携わり、それぞれの仕事の大変さや重要性を学んできました。その経験があるからこそ、ドライバーとして「ただ運ぶだけ」ではなく、一つ一つの業務に責任を持ち、丁寧に取り組むよう意識しています。
また、荷物を届けるドライバーが企業の「顔」になることが多く、その態度や言葉遣いが全体の印象に影響します。仕事を続けていくうちに初心を忘れてしまいがちですが、大切なのは気づいたらまた思い直すこと。その積み重ねが信頼につながり、お客様だけでなく仲間や家族へもリスペクトを心がけることで、サービスの質を高め、会社や自分の付加価値に繋がるんじゃないでしょうか。そうやってこれまで1人1人が努力を続けてきた結果、お客様から感謝の言葉をいただくこともあり、そのたびに「また頑張ろう」と励みになっています。
早番・遅番などあるので日によって勤務時間は多少異なりますが、だいたい朝7時頃に出社して18時頃には仕事を終えています。朝は洗濯をして、夜ご飯は妻が作ってくれているので洗い物は私がやっています。妻も仕事をしているので、できる限り家のことを分担し、家族で過ごせる時間を確保できるようになったことが、何よりも嬉しいですし、より充実した日々を送れるようになりました。
休日は趣味のキャンプやサーフィン、最近はサウナにもハマっていて、気づくと1日7時間も経っていたこともあります(笑)。自然の中で過ごす時間もまた格別で、いつかキャンピングカーに乗って、海辺で夕日を眺めながら車中泊をするのが夢ですね。日の出と一緒に目覚め、朝日を浴びながら波の音を聞き、パンをかじりコーヒーを飲む、そんな時間を過ごせたら最高じゃないですか。
私は子供の頃から乗り物が好きで、始まりは三輪車からです(笑)。自転車、スクーター、そして車の免許を取って、自分の運転で海に行ったときの感動は、今でも忘れられません。学生時代に先輩から誘われたのがきっかけでサーフィンを始めましたが、海に行くまでの運転から既にワクワクしていて、とにかく楽しかったのをよく覚えています。海沿いを走りながら音楽を聞くのが好きでジャズやロックなど、その時の気分に合った曲を選ぶと、より一層気持ちが高まるんです。これからも安全運転を心がけながら、健康に気をつけて、できる限り長くドライバーとして続けていけたら嬉しいですね。
子供たちのピアノ発表会や、陸上大会の応援に行く日もあります。息子の夢は箱根駅伝を走ることなんですよ。これから学年が上がるにつれ部活も増えて忙しくなると思いますが、私なりに妻と一緒に子供達の将来を支えていこうと思います。
(インタビュー取材 2025年1月)