WORK × LIFE STORY
もともと運転や車が特別好きというわけではなかったんですが、庫内作業のバイトをしていた地元の小さい会社で、「教習所の費用を出すからドライバーとして正社員にならないか?」と言われたのがきっかけでこの職に就きました。
その会社では主に雑誌の積み込みや配送の手伝いをやっていました。当時は出版業界に活気があって、いくら人手があっても足りないくらいでしたね。毎日凄く忙しかったんですけど、同時に楽しさも感じていました。体を動かして働くほうが私には向いていたんです。ただ、そのうちに違うこともやってみたいなと思うようになり、数年ほど経った頃、転職を決めました。
長続きする性格ではなかったので、その後は庫内作業や日用品の配送のアルバイトなど何社か転々としてきました。ですが、30代半ば頃「そろそろ正社員で安定した働き方がしたい」と考えるようになったんです。当時は家から会社まで距離があり、朝が早い時は会社に泊まったりと生活がままならない働き方になってしまっていたので、免許が活かせて家から通いやすい場所で仕事を探し、たまたま入社が決まったのがSBSロジコムでした。
私の担当業務はドラックストアのルート配送です。荷物は化粧品やボディーソープなどの生活用品が中心で、重いものもありますが、液体系の製品は比較的箱が小さいので、それほど大変さは感じません。ただ、周る店舗数や荷物の量、バラ積みのやり方など今まで経験してきたことと違う点が多く、最初は戸惑いました。
例えば、以前の会社ではあらかじめ用意された荷物を積み込んで1日2〜3箇所に届けていましたが、今は自分で荷物のリストを確認しながら、倉庫から集めて折り畳みコンテナに入れて、宛先確認用のシールを貼って…と、1時間半ほどかけて準備します。荷物や貼るシールを間違えないように、細かな作業も多いので気は抜けません。
周る店舗も1日だいたい20箇所ほどです。都心は店舗が集中しているので、意外と焦らなくても周れちゃうんですが、日によって場所も数も変わり、商店街を抜けた細い路地にある店舗なんかもあります。朝の通勤時間帯は急いでいる人ばかりなので、より慎重に運転するよう心掛けています。曜日によってトラックが侵入禁止になる道もあり、覚えるまでは苦労しましたが、仕事を長く続けていると自然と身についていきました。
ルート配送って一見単調な仕事だと思われがちですが、周る場所や荷物の量が多いと常に考えて仕事をしていて日々変化があって、時間が経つのがあっという間なんです。そういう部分がこれまで飽きることなく続けてこれた理由の一つなんじゃないかな。
朝は5時半頃に出勤し、6時から積み込み作業が始まります。7時半には出発して各店舗へ配送。仕事が終わるのは14時過ぎが多いですね。SBSロジコムに入社してすぐの頃は、速度の制限や点呼の仕方など規則の多さに驚きましたが、そのぶん時間の管理がしっかりしていて、おかげで残業もあまりなく定時で帰れてるほうが多いです。
たまに残業することもありますが、基本的には前日までに予定が決まっているので、急な変更が少なくスケジュールを立てやすい環境だと思います。これまでより収入が安定したのも嬉しいですね。
飽きっぽい性格だと思っていましたが、気づけば10年以上SBSロジコムで働いています。ここまで長く続いたことは自分でも意外でしたが、慣れたリズムで働きつつも、業務にメリハリがあって単調にならない環境だから、続けてこれたんだと思います。
仕事が終わるとまっすぐ家に帰り、夕飯を食べたりしたあとは次の日の仕事に備えて早めに寝てしまいます。休日も家でのんびりすることが多くて、翌日も休みの日にはテレビをつけながら何も考えずにビールを飲むのが好きです。近所を散歩したり、そういう何気ない日常の方が落ち着いていいですね。たまに友人とでかけて焼肉を食べに行ったり、それぐらいがちょうど良いなと思います。
実は父もトラック運転手をしていました。事故の経験もあったみたいで、1度、ブレーキが利かなくなってガードレールに突っこんだそうです。それでもやっぱり運転が好きだったのか、タクシー会社に移って運転手を続けていました。ただ、そういった経験から、自分がドライバーに就くときは複雑な気持ちだったかもしれません。
小さい時は、父の実家がある東北へ帰るときも車で行ってました。下道を使ったりしてえらく時間をかけて行ってた記憶があります。あまり考えずに今の仕事を続けてきたのは、父の運転する姿を見ていたからなのかもしませんね。時間が経つのがあっという間に感じるのも、自分もどこかで楽しんでる気持ちがあるからなのかな。
今こうして顧みると、気づけばこの仕事を長く続けていたという感じですが、正直なところ他にやりたい職業って考えたことがないんです(笑)。体力的な不安はありますが、これからも無理せず、自分のペースで長く続けていけたらいいなと思います。
(インタビュー取材 2025年2月)